橘井堂 佐野
2020年1月9日

上原正三さん、M78星雲の島唄、ありがとうございました

ウルトラマンシリーズなどの脚本を手がけていらした上原正三さんが1月2日、肝臓癌で亡くなられた。
82歳。
かつて長寿県で知られた沖縄出身の上原さんには、まだまだお元気でいらしていただきたかったです。
たくさんの夢を与えてくださいました。
夢みる力を信じる世界を与えてくださった偉大な創造主のお一人として、感謝の気持ちでいっぱいです。
上原正三さんとは1993年に放送したNHKのドラマ「私が愛したウルトラセブン」で、チーフライターの、やはり沖縄出身の金城哲夫さん役を演じたことでご縁ができました。
上原さんが、ドラマの中で、僕のことを早逝した金城哲夫さんにだんだん似て見えてきた…と評してくださったのを機にお会いすることに。
僕は出雲の人間で、あきらかに弥生系の顔立ち。金城哲夫さんはしっかりとしたまさに琉球人のお顔。
最初お話をいただいた時は、なぜ、僕のような顔立ちの人間が琉球人の役を?と、戸惑いもありましたが、古代出雲と琉球の縄文の血と地のつながりを知り、お導きを強く感じました。

金城哲夫さんは「ウルトラセブン」の後、円谷プロを去り、沖縄でラジオのディスクジョッキーや沖縄海洋博の演出という大役も務めていらっしゃいましたが、飲酒が原因で事故死なさいました。
沖縄帰郷後の金城哲夫さんの物語を映画化したいと、上原正三さんが脚本、僕が監督…という企画も持ち上がりましたが、実現はしませんでした。
けれど、上原さんはシナリオ「M78星雲の島唄」を書き上げ、映画化こそなりませんでしたが、それを元に書籍化なさいました。
それが、「金城哲夫 ウルトラマン島唄」

金城哲夫さんの内面に迫る作品ですが、金城さんのことを描きながらも、同じ琉球人としての葛藤を誰よりも共有していらしたからか、上原さんの心情とも重なっていたように思われます。 金城さんの後を受けて、「帰ってきたウルトラマン」のチーフライターを務めた上原さん。
リアルタイムで「ウルトラQ」から観続けていた僕にとって、「帰ってきたウルトラマン」までで、まずは完結した印象でした。
大人になってからも、すべてのシナリオを執筆した「宇宙刑事シャイダー」も名作として強く心に残っています。
お仕事としてご一緒させていただいたのは「ウルトラマンマックス」のナレーションになるのかな?

金城哲夫さん同様、大和と琉球の、古代から戦後に至る、そして今なお続く歴史的葛藤は、上原さんにとっても、執筆への大いなる源となっていたに違いないと想像します。

数年前、自伝的小説「キジムナーkids」を上梓なさった上原さん。
少年時代の心を忘れないこと。
この列島のこの先のあり方を導いてくれるのは、もしかしたら、ウルトラシリーズから受け継がれてきた魂の中にこそあるのかもしれません。

M78星雲では上原正三さんは永遠に生き続けるのでしょうね⁉︎
まずは、おつかれさまでした。
ゆっくりお休みください‼︎

橘井堂