橘井堂 佐野
2022年11月14日

ベルウッドレコード50周年記念コンサート

11月11日、中野サンプラザホールベルウッドレコード50周年記念コンサートが開催されました。
楽屋はさながら同窓会といった感じで、みなさん旧交をあたためていらっしゃいました。
今回、ベルウッドレーベルからリリースした音楽家たちが集結したわけですが、高田渡さん、遠藤賢司さん大瀧詠一さんら、旅立たれてしまった方もいらっしゃいますし、細野晴臣さん友部正人さんら、参加できなかった方々もいらっしゃいました。
それでも、参加ミュージシャンの方々は、まだ現役バリバリですし、懐かしのメロディーを今宵〜〜〜といった企画とは一線を画していたように思います。
特に、フォークシンガーといわれていた方々は、ギター一本で、どこへでも出かけ、それぞれの世界を作り上げてしまうのですから、身軽さも永く続けていくことの大切な要素かもしれません。
懐メロなんて気持ちはさらさらないものの、けれど、みなさんが演奏した楽曲は、デビュー当時の曲がズラリ!!
なんとも贅沢な時間でありました。
そんななか、スペシャルゲストとしてなぎら健壱さん森山直太朗さん、そして僕にもお声がけ頂きました。
なぎらさんは70年の中津川での第二回全日本フォークジャンボリーの実況録音盤に収録されておりましたし、当時はアマチュアとして紹介されていたものの、最初から現在のようなエンターテイナーとしての才能を発揮なさっておりましたので、これはもう、ほとんどレーベルアーティストの草分け・・・といった印象。
フォークジャンボリーの録音は、ベルウッドレコードの創始者、三浦光紀さんが、キングレコードの機材を持ち出して録音されたものだそう。 なぎらさんの参加は当然として、森山直太朗さんは、ベルウッドからリリースしたアーティストではないものの、お母様は森山良子さん、その従兄弟にムッシュかまやつさん、そのお父さんがティーヴ釜萢さんという、日本のジャズ、ロック、フォークの草分け的存在の血筋ですから、フォークでもロックでもない、ジャンルを超えた新しい日本の音楽シーンを開拓していくという志のベルウッドのゲストとして、また、それを受け継ぐ若い世代の代表として、これまたふさわしいゲストでありました。
楽屋で直太朗さんとお話ししていたところ、ベルウッドに連なるURC系の音楽が大好きで聴いていらしたとのこと。
実はディープな魂が潜んでいることに、納得!!でありました。
そして、まあ、私は、その間・・・のベルウッド黎明期の空気、音を、リスナーとして、観客として全身に浴びていた生き証人的ゲストだったかな?
第2回フォークジャンボリーの実況録音音源、ベルウッドレコードからリリースされた「CITY」はっぴいえんどのベスト盤収録の「かくれんぼ」の後の、客席からの私の掛け声「ええど、ええど〜」は収録されておりますゆえ、それをいいことに臆せず参加させていただきました。

さて、出演者の皆さんは、持ち歌2曲ながら、それ以外の時間も、皆さん袖で、じっと他のミュージシャンの演奏を聴いていらっしゃいました。
深い愛情を感じました。

楽屋では、初対面の直太朗さんと前述の話をしたり、鈴木慶一さん伊藤銀次さんとウエストコーストロックのミュージシャンたちからの影響の話をしたり・・・。
先日、松江での朗読を聴きにきてくださった大塚まさじさんと、松江の喫茶MGや、大阪のディランの話に興じたり。
・・・なぎらさんとも振り返れば長いお付き合い、好きなギターやカメラの話に興じたりと、楽しい時間でありました。
中川五郎さんとは、ご挨拶くらいしかできなかったけど、五郎さんも、高田渡さんや岡林信康さん、加藤和彦さん、遠藤賢司さん、早川義夫さんらと共に60年代から切り開いてきた方の一人だものな〜また、色々とお話し、聞かせていただけたらいいな。

今回はカミさんの石川真希も聴きに来てくれて、状況劇場時代からのお付き合いの小室等さんや、映画「夢みるように眠りたい」からのあがた森魚さんと再会を喜んだり。
六文銭の四角佳子さんともお久しぶりでしたが、おケイさんも、こむろゆいさんも、及川恒平さんも、皆さん、声が若々しかったのが印象的でした。

ところで、私の演奏。
今回、レーベルから楽曲をリリースしているわけでもない私の2曲は、恩師、遠藤賢司さんの「夜汽車のブルース」と、はっぴいえんどの「かくれんぼ」。
1970年のエンケンさんの「夜汽車〜」を聴いてぶっ飛んだ私でしたし、映画、音楽への道へと誘ってくださった恩人でもあります。
この曲を、亡きエンケンさんに捧げる想いで臨んだのでありますが、リハーサルまでは、全くそんなことはなかったのに、本番で、ギターアンプがトラブル。音が出なくなったのでありました。
思わず、バンマスの高田漣さんと目を合わせ、「こりゃ、来てるかな〜?」と一言。
「ちゃんとやれってことか〜〜〜?」
「やってやろうじゃねえか!!!!」
と、思わず、亡き恩師に啖呵を切ってしまいました^^”
おかげで????まあ、なんとか、入魂の一曲となったかな?

続いて「かくれんぼ」。
この曲をやると決めてすぐに、鈴木茂さんに電話し、出演交渉、ご快諾をいただきました。
はっぴいえんどの解散リサイタルともなった1973年の文京公会堂の音源には「この四人でしかできない曲をやります」と、大瀧詠一さんが言っていたにも関わらず、これもまた、大瀧さんに捧げる想いを込めて。
はっぴいえんどの解散コンサートの音源では大瀧さんは四人とはいっていたものの、実は鈴木慶一さんがピアノでサポートなさっていました。
「内心、ムッとしたけど、すぐに、『あの場で五人と言うわけにもいかないだろう』と心落ち着かせた」とのこと。
ならば、ここで慶一さんが出演しているのに、「かくれんぼ」を演奏していただかないわけにはいくまいと、慶一さんにも、参加をお願いしたのでありました。

バンマス、高田漣さんのスチール、坂田学さんのドラムス、伊賀航さんのベースによるリズムセクションとの相性はバッチリだったかな?
またやりたいな〜〜〜〜^^”
「夜汽車のブルース」ではピアノに野村卓史さん

竹嶋聡さんの管楽器を加えてのハウスバンドは最強でした!!
皆さん、本当に大変だったと思いますが、3時間半にも及ぶコンサート、充実のひとときでありました。 おそらくもう、こうした企画は開催されないかもだけど・・・だからこそ、特別な一夜でありました。

高田渡さんの「コーヒーブルース」を息子の高田漣さんが唄い幕を開けたこのコンサート。
2部のオープニングは同じく高田漣さんがいつも一緒に演奏している細野晴臣さんの「ろっかばいまいべいびい」を。
伊藤銀次さんの、ごまのはえ時代のデビュー曲「とめ子ちゃん」や、落涙の、鈴木慶一さんと武川雅寛さんによる、はちみつぱいの「塀の上で」や、あがた森魚さんの「赤色エレジー」等・・・感想は書ききれませんが、素晴らしい一夜に、ただただ、感謝!!でありました。

創始者の三浦光紀さんの最後のご挨拶、「良いリスナーがいたからこそ・・・」には、日本の新しい音楽を切り拓き、支えてきた方の言葉の重みがありました。
本当にありがとうございました!!!!

【セットリスト】
1部
1、コーヒーブルース 高田漣
2、あしたはきっと いとうたかお
3、生活の柄 いとうたかお
4、こんな月夜には 大塚まさじ
5、プカプカ 大塚まさじ
6、ミスター・ボー・ジャングル 中川五郎
7、ミー・アンド・ボビー・マギー 中川五郎
8、君住む街に 森山直太朗
9、一本道 森山直太朗
10、赤色エレジー あがた森魚
11、冬のサナトリウム あがた森魚
12、塀の上で 鈴木慶一& 武川雅寛
13、煙草路地 鈴木慶一& 武川雅寛

2部
1、ろっかばいまいべいびい 高田漣
2、鉱夫の祈り なぎら健壱
3、告別式 なぎら健壱
4、とめ子ちゃん 伊藤銀次
5、乱れ髪 伊藤銀次
6、夜汽車のブルース 佐野史郎
7、かくれんぼ 佐野史郎
8、氷雨月のスケッチ 鈴木茂
9、花いちもんめ 鈴木茂
10、私は月には行かないだろう 小室等&六文銭
11、キングサーモンのいる島 小室等&六文銭
12、出発の歌 小室等&六文銭

photo

★中野サンプラザ


photo

★初めての中野サンプラザホール・・・リトル・フィート、トーキング・ヘッズ、ラモーンズ、エコー&バニーメン、荒井由美、くるり・・・数々のコンサートを観てきたけれど・・・ここに立てて感激!!でした。photo by 小林弘輔


photo

★鈴木茂さんのギター、鈴木慶一さんのピアノも加わって、はっぴいえんどの「かくれんぼ」を🎶 Photo by 小林弘輔


photo

★ギターは335 セミアコのギターはタイムスリップ時代のグレッチテネシアン以来かな? photo by 小林弘輔


photo

★全員集合!! photo by 小林弘輔


photo

★ありがとうございました!!! photo by 小林弘輔


橘井堂