2024年11月21日
火野正平さん、ありがとうございました |
火野正平さんの訃報を聞く。
西田敏行さんに続いて、また、大好きな先輩俳優が旅立ってしまった。
オレもいつまで生きるんだろう・・・と思ってしまうのは、自然なことだと思うけれど、まだまだやらねばと奮い立たされもする。
悔いなく、俳優人生を全うされたのだろうと、思う。
大切なことを教えてくださった先輩でもある。
中学生、高校生の頃、いや、その後、芝居を始めてからも、火野正平さんは憧れだった。
とはいえ、正平さんのようになりたい・・・と思ってたわけではない。
どんなに根津甚八さんが好きでも、田宮二郎さんが好きでも、岸田森さんが好きでも、自分の体は自分でしかないことだけは、わかっていたように思う。
だけど、憧れた。
TBSの連続ドラマ「それぞれの秋」や「バラ色の人生」などに登場する、正平さん、森本レオさん、小倉一郎さん、仁科亜希子さん、高沢順子さん・・・ああ、いろんなドラマがごちゃ混ぜになってしまっているかもだけど、70年代前半の青春群像に憧れながら、俳優の道を歩み始めていたのだ。
とはいえ、テレビドラマに出演したかったわけではないし、ハナから出演できるとは思ってもみなかった。
ただ実人生の青春と、ドラマの世界とは別のこととしては感じてはいなかった。
無自覚だったけど、正平さんの、あまりにも自然な・・・というか、演技ではない、そのままの人間が、たまたまドラマの中で生きているのを観ていた・・・という感覚は、その後の、自分の俳優人生に、大きく影響を与えていたのではないか?とも思うのだ。
まあ、けれど、最初に述べたように、自分は他人の体を有してはいないので、実人生そのままの状態で虚構に飛び込むには、やはり、身構えてしまい、いまだに、その壁を克服することはできないでいる。
正平さんとは、何度か共演させていただいている。
近年では「Fukushima50」かな?
打ち上げの席で、いつもは気さくな正平さんが、どことなく神経質だったのを覚えている。
京極夏彦さん原作、「巷説百物語」のドラマ化、WOWOWの「怪」での「赤面ゑびす」「福神ながし」は、京都、帷子ノ辻、松竹京都撮影所での日々。
飄々とした正平さんの立ち居振る舞い、間近にいて、幸せでした。
この時も、一緒に飲みに連れて行ってもらったりしたけど、何年後かに、また同じ京都の松竹撮影所で、亡くなられた十八代中村勘三郎さん主演の「河合継之助 駆け抜けた蒼龍」というドラマでもご一緒。
夕方、撮影が終わると、僕のところへ来て「どっかご飯食べにいくんですか〜?」と。
「ええ」
「僕も連れてってくださいよ〜〜」
いや、大先輩に甘えられて、こちらはメロメロ。
その日は、ずいぶん遅くまで、盛り上がりました。
ああ、そんな一瞬一瞬が、かけがえのないひと時。
悔いなく、悔いなく・・・。
火野正平さん、本当にありがとうございました。
安らかにおやすみください。
合掌
|
|
|