橘井堂 佐野
2026年1月18日

桑原茂夫さん安らかにお眠りください

元・現代詩手帳編集長、詩人、作家の桑原茂雄さんが亡くなられた。
82歳。
状況劇場時代には、あまりお付き合いはなかったけれど、その後、恩師・唐十郎を囲む文人の一人として、長く関わってきた方だ。
2年ほど前のお正月には、我が家で新年会にいらしていただき、四方山話に花を咲かせていた。
一昨年、脳梗塞で倒れたけれど、闘病のなか、リハビリも行い始め、寝たきりは避けられたと聞いていたので、残念でならない。
死因は老衰とのことなので、命を全うなさったと思う。

カマル社という自らの出版社で「月あかり」という冊子を定期的に発行し、自らのエッセイや小説も載せていらした。
反戦への思いを強く持ち、その想いは、ますます強くなっていたように思う。

戦後の記憶を辿った「御田八幡絵巻」、泉鏡花への想いを隠さない小説「鬼ものがたり」、戦後、幼少時代の戦地から帰還した父の変わり果てた様を綴った「西瓜とゲートル」など、どの作品も染み入るものだ。
高校時代に読んだ現代詩手帳のルイスキャロル特集は、今も書架に収まっている。
アリス、泉鏡花・・・硬質なものへの憧れを抱きつつも、その本質はとてもセンチメンタルなものなのかもしれない。

泉鏡花や「西瓜とゲートル」の朗読を・・・と何度かご依頼をいただいたこともあったが、なかなか踏み出すことができなかったのは申し訳なかったです。
嵐山光三郎さんから、倒れた桑原さんの後を継いで、泉鏡花「高野聖」の朗読公演の依頼を受けたのは昨年だったが、今回こそはやらねば!と、臨んだ。
だが、その嵐山さんの方が先に旅立ち、続いて桑原さんも・・・。

振り返れば、ついこの間までいらしたように思っていた原田芳雄さん、まあ、色々はあったけど、荒戸源次郎さん・・・若松孝二監督、金子國義さん・・・大瀧詠一さん、橋本潤、遠藤賢司さん、PANTAさん、シーナ&鮎川誠さん、タイムスリップのアキタカ…状況劇場時代からお兄さんのように慕っていた安保由夫さん、安保ちゃんと一緒にナジャを続けていたクロちゃん・・・李麗仙さん、唐十郎さん・・・そして、嵐山さん、桑原さん・・・ みんな逝ってっしまったけど、受け止めてきたものの大きさは計り知れない・・・

こちらもこの先のことはわからないけれど、受け止めてきたものを今一度咀嚼し、伝えていけるよう、日々の作業に取り組まなければ・・・

桑原茂夫さん、ありがとうございました
安らかにお眠りください
合掌

橘井堂