橘井堂 佐野
2022年5月22日

シン・ウルトラマンとNetflix版ULTRAMAN season2

公開二日目に六本木のTOHOシネマズ「シン・ウルトラマン」を観に行きました。
円谷プロダクションさんから、これまで多くの作品に参加させていただいておりますし、関係者ということで、ムービーチケットを送っていただいていたのですが、事務所から届けてもらう時間が待てずに、当日、駆け込みました。
もう一回ムビチケで観に行っても良いんですが、記念に取っておこうかな?^^”
ご招待いただき、本当にありがとうございました!!!

まあ、その・・・「シン・ゴジラ」の公開時、総監修の庵野秀明さんの眼差しで描かれた世界と向き合うには、エヴァンゲリオン シリーズを観ておかなければと、テレビシリーズ、劇場版の全てを観てから臨んだことが懐かしく想い返されます。もちろん、その後の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」も、しかと観届けましたが、どこまでも、「事実」として「空想」の世界を生きる姿勢には敬服するばかりでした。
「絵空事」は、時に「現実」として襲いかかってくることがあるのを、子供の頃から感じていましたし、じわじわと脂汗が出るように重くのしかかってくる感覚がありました。
その一方で、「そりゃないだろ〜〜」てな、ツッコミどころ満載なのも、演出のうちなのでしょうが、エンターテイメントとしてのゆるさも兼ね備えていて楽しかったです。
樋口真嗣監督とは、まあ、散々ネタにしとりますが、ハリウッド版ゴジラが公開された2014年頃、「次の日本版ゴジラは〜」なんて話しておりましたので、すっかり出演する気になっておりましたっけ^^”
結果、心置きなく、ゴジラファンとして、日本版ゴジラの新作を楽しむことができたのですから、よかったかな?

よく「どんな役を演じてみたいですか?」と訊かれますが、与えられた世界を生きることができれば、それだけで嬉しいのです。
この世に生を受けることと同じでしょうから。
そりゃ、生を与えられたからには幸せな世界に生きたいですけれど、幸せは、与えられた世界をどう生きるか次第かもしれません。
今起こっているような戦争や、飢餓、差別、病・・・そうした不幸から逃れられないとしても、フィクションの中では、その不幸を精一杯生きることで、次なる現実世界が救われることに繋がる希望は持てるのだと、そのくらいは信じたいです。

で、今回の「シン・ウルトラマン」。
ネタバレはしないようにしたいと想いますが、まずは、「シン・ゴジラ」があったからこその「シン・ウルトラマン」の世界なのだと確認。
なるほど、では、ゴジラもシン世界にはいるのだなと、早くもワクワク。
かつて「空想特撮シリーズ ウルトラQ」の次なるエピソードとして始まった「ウルトラマン」でしたから、その多重露光の構造に、観客も、これは「空想」という「シン実」なのだと思わされるのでした。
小学生の時に胸躍らせた怪獣たちや巨大植物、巨大人間(縮尺世界)、宇宙人たち、そしてウルトラマン、これまでのウルトラ世界へのオマージュに満ち満ちておりました。
なので、この「シン・ウルトラマン」は「ウルトラQ」の例えば「クモ男爵」や「2020年の挑戦」「あけてくれ」と同じ、エピソードのひとつなのだと腑に落ちたのでした。
カラータイマーがないのは「バラージの青い石」のノアのことと重なりますし、体の色が変わるのは近年の「ウルトラマントリガー」などで描かれている世界との関連も想起させられます。

まあ、しかし、今回は、東宝の女優、長澤まさみさんが主演を務めておりましたから、もしも夢が叶うならば、小学生に戻って、松江の日比谷東宝の建物を模した映画館で、観てみたかったです。
水野久美さんとのエロエロ合戦、すごかっただろうなあ^^”
東宝の怪獣映画〜ああ、なんて魅惑的な響きなんでしょう!!

ところで、Netflix版「ULTRAMAN」は、シーズン1の、これまた、原点の「ウルトラマン」へのオマージュが深く、魅入ってしまいましたが、シーズン2はそこに、さらに、広く、深く、東宝も東映も超えた、これまでの特撮シリーズ、戦隊モノへの深い黙示録とでもいうよな示唆に満ち満ちておりました。
アニメーションのキャラクターは昭和から特撮モノを見続けてきた者にとっては、どれも感慨深いものがあります。
「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」はもとより、「忍者部隊月光」や「仮面ライダー」「秘密戦隊ゴレンジャー」、はたまた「美少女仮面戦士ポワトリン」など、全ての要素が、改めて丁寧に織りなおされているようで、しみじみと、感じ入ってしまいました。

50年以上も前に始まった「ウルトラQ」の世界は、市井の人たちの、生き様の摩訶不思議と、神話体系を分け隔てずに、これからも受け継がれていくのでしょう。
それにしても、やはり鍵はケムール人とバルタン星人が握っているように思えて仕方がありません。
(ケムール人はウルトラマンと同じく古谷敏さんが演じておりましたし、ケムール人がウルトラマン着想のきっかけであったと、実相寺昭雄監督はおっしゃってました。シン・ゴジラは野村萬斎さんが演じたものを基としたそうですが、シン・ウルトラマンはアンガールズの山根さんではないか?とは、友人の弁)

橘井堂