橘井堂 佐野
2010年9月12日

谷啓さん、安らかに・・・
谷啓さんとは1990年、平成2年に日本テレビ系列のドラマ、水曜グランドロマン「体罰教室」でご一緒させていただいたのが最初だった。
その後も何度か番組でお会いしていると思うが、やはり、最初の出会いが印象に残っている。
教頭と体育教師が正面から敵対する設定だったのだが、憧れの大先輩との一騎打ちに、内心怖れおののきながらも、全力でぶつかっていったことをよく覚えている。
この時、僕は女教師役の賀来千香子さんを、ひどく追いつめる役柄だったのだが、賀来さんも全力で受け止めてくれ、そこで信頼感が芽生えたような気がしている。
その賀来さんを必死にかばう谷さんの演技は、今も忘れられない。

クレイジーキャッツのみなさんとは、ハナ肇さん、植木等さん、安田伸さん、桜井センリさん、そして、谷啓さんと共演させていただいた。
クレイジーキャッツは、子供の頃、ゴジラと並ぶスターだった。
テレビでは「シャボン玉ホリデー」、映画館では東宝の一連のシリーズ。
一流のミュージシャンであり、コメディアンでもある。

特に谷さんはジャズ誌の人気投票ではNo,1のトロンボーン奏者。
つい、この間まで、お茶の間にその響きを届けてくれていた。

戦後の、進駐軍相手のクラブから出て来たミュージシャンによって支えられて来た、日本の戦後芸能史・・・。
渡辺晋、堀威雄、ジャニー喜多川、フランキー堺、世良譲、クレイジーキャッツのみなさん・・・数えきれないほどのキラ星が流れ流れ・・・僕らはその光りの瞬きに目を細めながら、あまりにも幸せな音と笑いの涙の泉に浸ることができていたのだ。

ずうっと後になって、この世界の末席を汚させていただきながら、やはり、先輩たちの現しててきたことを、形は違ってもいいから、受け止めて行き続けたい・・・と思うのです。

谷啓さん、やすらかにお眠り下さい。
そして、そちらでのジャムセッションを、どうか心ゆくまで楽しんでください。

「スター・ダスト」は最後にとっておいてくださいね!

おやすみなさい・・・。

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