橘井堂 佐野
2018年7月16日

辻孝彦よ、安らかに眠れ
劇団「唐組」の看板俳優、辻孝彦さんが亡くなられた。
7月5日、食道がんだったそうだ。
唐組は、僕が在籍していた状況劇場からの紅テントでの公演を、座長、唐十郎さんのもと続けているが、唐さんが2012年に脳挫傷で倒れてからは、久保井研さんが実質上の演出を任されている。
その看板俳優の一人が亡くなった。
劇団員は、入団してきては去っていく。
その中で、文字どおり、劇団に骨を埋める覚悟を貫き通したのだから、去ったこの身としては何も言えない。

同じ舞台に立ったのは、2004年の唐十郎主演、林海象監督「海ほおずき」の上映を紅テントで行なった時だったか?
映画と実演・・・なんてストリップとポルノ映画との興行が、かつてはあったが、演劇と映画の二本立て。
唐さんから急遽、氷屋の役で「舞台に立て!!」と言われたので、一瞬にして劇団員に。
その時に辻もいたはず。
あるいは、2007年、山崎哲さんの新・転位21公演「黙る女」。
唐組から客演していた久保井研さんとともに辻孝彦も舞台に立っていた。
客として観に行っていた私は、これまた急遽、辻が演じていた刑事役で代わりに立つことに。
稽古は当日、場当たりしただけ。
辻に教えてもらいながら。
脚本も読んでいなかったし、流れがわからないので、客席で観ていて、出番になったら客席から登場。
客席の前には唐さんがいたし、あんなに緊張したことはない。
妙な辻孝彦との想い出だ。

唐組の公演がハネたあと、テントに残っての宴会。
辻ともいろいろ話したっけ・・・。

まだまだ、話したいことがあったような気がするけど、また、いつか。

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★辻孝彦、出演していた舞台の数々。


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★唐さんと2ショット。


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★お気に入りの衣装。


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★台本の数々。


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★細かい字でびっしりと自分のセリフを書き写していた。


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★なんとも言えぬ、その立ち姿!!

橘井堂