今回の「PRIDE.20」観戦はフジテレビの「トリビュート」という番組の取材だったんだね。
スポーツということで話をしていったら、「PRIDE.4」を観に行ったときの、桜庭和志選手の気配の無いボディーブローの話になったんだよね。ところがヴィデオを見直すと、どこにもそんなパンチは映ってない。(笑)
VTRにも写らないほどの気配の無さだったのか。(笑)
さすが、同じ映画を観てもみんなと違う幻のエンディングを観てしまう佐野君らしい。桜庭選手の幻のパンチをみてしまったんだ。
おかしーなー?(笑)
まあ、気配の無さということでは間違っていないんだけどね。あの人だけ、すごく変わって見えたよね。
あのころの桜庭選手は、まだブレイク前だったから、目のつけ所は良かったんだけど……
それで、その気配の無さというのが、舞台での体の在り方と相通ずるものがあるということ?
それを考え始めたのが10年くらい前で、それまでは演出家の言うことを聞くので精一杯だったんだよ。それが一人で映画に出るようになって、自己演出をせざるを得なくなって、小津安二郎監督の演技論とかをお手本にしたりしていると、身体のことを考えざるを得なくなるじゃない。
それで古武術の甲野善紀さんの本を読んだりしたんだな。
PRIDEのような実戦格闘技と武術の違いってあるじゃない。どちらかというのと、自分を極めていく武術と、相手があって成り立つ格闘技との違いとか。舞台というのはどちらになるわけ?
甲野さんは自己を極めていっている訳だけど、僕の舞台の捉え方は格闘技なんだよ。だって、目の前にお客さんがいるわけだからね。だからと言ってお客に向かって演じるということじゃないよ。相手は舞台の上にしかいない。パフォーマンスはあって当たり前。金取ってるプロなんだから。リングも同じじゃないのかなあ?
演出家の竹内銃一郎さんとも話したんだけど、本番の客席で携帯電話が鳴ったときに、それを鳴らなかったことにして舞台は進められるじゃない。あとで「今日の客はヒドかったね」と言うわけだ。
でも、その気になる音を無視せずに、あったものとしていかにして舞台に取り込むかということなんだよ。それがリアル・ファイトというか正直な在り方だと思うわけよね。家でご飯を食べていて地震が起きても、そのままご飯を食べ続けるというのは不自然じゃない。それと同じことだよね。
格闘技と舞台の相似点があるわけだ。
TBSテレビの「しあわせのシッポ」で坂口憲二くんといっしょなんだけど、彼は役者をはじめてそんなにたってないわけだけど、「PRIDE.20」も観に来ていたし、柔道の黒帯だということもあって「“相手が何をしようとしているのか分らない状態でいる”とかは芝居といっしょだよね」というような話が通じるんだよ。
じゃあ、それが出来ているかというと、お互い出来ないんだけどね。(笑)
なにしろ「世界の荒鷲(坂口征二)!」の息子だものね。
別に格闘技雑誌を読んだりはしないけど、リングを観ていて身体の動きは気になるね。
ノゲイラ(弟)は出てきただけで、スゴイなと思ったね。ボブ・サップは恐すぎ。殺されるでー、あれは。(笑)獰猛なクマが目の前にいるようなものだよ。
ダン・ヘンダーソンとヒカルド・アローナの試合はいい試合でしたね。最初みたときはヘンダーソンが勝つんだと思ったんだけど、ヒカルドが勝っちゃったね。
マリオ・スペーヒーとムリーロ・ニンジャも出てきたときには、圧倒的にマリオの勝ちだと思ったんだけど、ニンジャの勝ちだったね。そこまでは、読めないな。
★菊田早苗選手とファイティング・ポーズがさまにならない佐野。
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そして、あれほど連勝しているのに、佐野君が観に来ると決まって勝てない菊田さんの試合だ。
今回はやっとでそのジンクスを破ることが出来ました。技術的には格段の差がありましたね。
でも、アレク選手は粘り強いね。前回もリングの設営をした後に、そのリングで勝ったりして面白い選手だとは思っていたんだけどね。
でも、勝負と関係ない部分が多すぎて、身体を観ようとしている自分にとってはあまり好みではなかったかな。まあ、興行としては非常に重要なファクターなんだろうけど。
まわりも「菊田、何ですぐに極めねえんだよ!」と言ってたけど、菊田さんも悔しがってたね。
すぐに極めないで、ボコボコにしていくのが作戦だと思っていたら、実は下から喋りかけたりいろいろあおられて、平常心を失っちゃったと言ってたね。
そうそう、それで5分で息が上がったって言ってたもんね。(笑)アレクの作戦に引っ掛かっちゃったね。
最後の腕十字も極まってたのになー。まあ、あれも平常心を失って、極めが浅かったと菊田さん言ってたけど。
そして、メインはPRIDEのチャンピオンのヴァンダレイ・シウバとK-1のミルコ・クロコップ。
ミルコは知ってたんだけど、シウバのことはあまり知らなかったんだよね。でもシウバ強かったね。判定があったらシウバの勝ちでしょう。
しかし、シウバもミルコのあのキックを受けて、よく平気だよね。力の拮抗した強い人同士ってなかなか決着がつかないんだろうな。
ところで、ニンジャとシウバのセコンドについていたペレという選手はおかしかったな。ほとんど、小学生の娘の八雲と同じリアクションなんだよ。劣勢になると頭を抱えて叫ぶし、攻勢だと檄を飛ばし続けるし。格闘技観戦ってだいたい大笑いしながら観てるな。