橘井堂 佐野
2000年2月24日

アイルランド、小泉八雲紀行2

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★アシュフォード城の豪華な部屋。
まず首都ダブリンのハーンが最初に住んでいた家に行った。サラ・ブレナンという伯母さんに育てられた所だね。そこがベッド&ブレックファーストになっていて、そこに泊まりました。すごく快適だったな。
ダブリンはジョイスの銅像が町中にあったり、イエーツ、ベケット、スウィフトといった大作家が出てるところだから、すごいよね。本屋に行くとアイルランド作家のアンソロジーとか置いてあるけど、ちょっと半端じゃない。
でも、ダンセイニとかハーンは現地では余り認知されていなくて、これにも驚いた。レ・ファニュの方は大作家として認められてるみたい。あと「吸血鬼ドラキュラ」のブラム・ストーカーはやはり人気があったな。

それを聞くと、なんか民度が高そうだなー。

というか、70年代にECに入ったばかりだし、経済的にも、今はすごい発展中らしいけど、基本的には質素で娯楽も限られていたからじゃないかな。メディアによって文化が画一化されるのはこれからじゃない。それにしても、日本ほどムチャクチャにはならないと思うし、勝手だけど、なって欲しいとも思わないな。
毎日、向こうの文学者やハーンの子孫の人たちと、アイルランドの文化やケルトの妖精譚からのハーンの作品や人となりへの影響を語るというヘビーな日々が続いてもうへとへと。

ビートルズがどうのこうのと言ってたよね?


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★アイルランドのクラシック・ビートルズ
アイルランドに着いた日に「クラシック・ビートルズ」というポスターを見かけたんだよ。2ヶ月間、毎週土曜日に夜中の12時から伝統あるオリンピア劇場というところでやってるらしくて、その日に観に行ったら、客層は10代、20代の若者だらけ。で、「抱きしめたい」から始まって、もうビートルズそっくりなのよ。(笑)
でも、音はそっくりなんだけど、あきらかに衣装のサイズが合ってなかったり、なんか変なんだよ。トークまでそっくりコピーしてるんだけどね。
ヒット曲だけじゃなくて、選曲も抜群。ポールのヘフナーのベースとジョンのリッケンバッカーはそのままなのに、ジョージは今のギターだったりするという。(笑)

日本だとそつなく作るんだろうけど、その隙間の多さがアイルランドなんだろうな。

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★クラシック・ビートルズのジョージとジョン。
でも、本気度が高くて、マネというのでもなんちゃってでもないんだよ。ビートルズって、ポール以外の三人は実際にアイルランド出身だし、冗談が過ぎて、もう本当のビートルズなんだよ。(笑)
最初は笑ってたんだけど、あまりのそのままさ加減に感動して次の週も行ってしまいました。マネージャーの渡邉氏はずっと踊ってたし。(笑)日本武道館でやって欲しいよ。

前座がドリフターズで?(荒井注さんに合掌)

内田裕也さんとね。
あとアイルランド移民によってアメリカのカントリーが生まれたんだね。黒人霊歌といっしょになって、R&Bとかブルース、労働歌になったんじゃないかな。

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★泊まったアシュフォード城。

お城に泊まったという話しは?

コングというところのアッシュフォード城だな。ホテルになってるんだけど、ものすごく良かった。今はギネスが買い取っていて、部屋には古伊万里とかいいも のがたくさん置いてあるんだよ。コングはハーンも夏休みに遊んだ所みたい。
ダブリンからゴールウェイまで電車で行く途中、草原に羊と崩れた城や遺跡がいっぱいあったな。

ダンセイニ城にも行ったんだよね。


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★ダンセイニ20世とともに。
有名なタラの丘に行ったんだけど、「もし、ダンセイニ城があったら行ってみたいんですけど」とリクエストしておいたんだよ。ハーンとは直接関係ないけどラブクラフトのクトゥルー神話のルーツみたいなものじゃない。
そしたら地元の土産屋にダンセイニの本が置いてあるし、ダンセイニ城も「ダンセイニ・コレクション」として残してあったんだ。なかなか連絡がつかなかったんだけど、飛び込みで訪ねていったんだ。

門から行けども行けども着かないし、敷地内にお墓はあるし、教会はあるし、ものすごく広い領地だったね。
お城に着いたらダンセイニ20世がゴム長靴で出てきて、こっちはもう「へへー」とひれ伏す感じだった。(笑)
鹿とか、犀とかの首の剥製だけの部屋とか、映画でしか見たことのないようなものじゃない。そこに人が住んでるんだから、びっくりだよ。招待されて泊まった人がサインするゲスト・ブックみたいなものもあったな。100年以上も前からのものが。ウチも阿佐ヶ谷のアパートのころからゲスト・ブックを作っておけば、面白かっただろうな。(笑)
前に日本人が一人来たことがあると言ってた。

荒俣〔宏)さんかな?


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★ダンセイニ城にあった直筆の戯曲。
そうかも。
ダンセイニのサイン本を入手したから、荒俣さんに逢って自慢したいな。(笑)
あと面白かったのは、田舎のおばあちゃん達が「あそこで、妖精を見た」とか、近くに幽霊屋敷があったとか、みんな言うんだよ。(笑)それに、怖い話をするときは言葉が分からなくても、おばあさんの顔を見ているだけで怖さが伝わってくるんだよね。
「ストーリー・テリング・ハウス」といって、子供たちも交えた村人が集まって、怪談噺を読む集まりがあったんだ。そこで、オレもハーンの怪談を読んだんだけど、杖を持った人が話をして次々杖を渡していくんだけどね。

ちょっと、日本の百物語に似たような感じだな。

そこで、おじいさんがハーンの「耳なし芳一」を途中まで読んで、これから先は長くなるからといって説明したんだけど、そっちの方が鬼気迫っていたな。しかも「ホウイチ」という時に、完全に入ってるんだもん。怖さが伝わってくるんだよ。さすが語り部、歴史が違う!
日本もかつては水木しげるさんじゃないけれど、「のんのんばあ」のような「語り」の伝統があったのにね。
ケルトは文字を持たなかったというのが伝承の力なのかな?
文字で残すと改ざんされて政治になってしまうものな。法律だけが文字になればいいのかね? やはり音の力、振動の力はすごいね。

あとは、3月5日19時20分から放送のBS2「地球に好奇心」をお楽しみにと言うところだね。

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