橘井堂 佐野
2003年11月23日

ニール・ヤング&クレイジーホースの「グリーンデイル」ツアーLIVE
photo★写メは15日終演後、武道館前にて、左から佐野、岸田、エンケン。撮影/坂井真紀。
2001年のフジロックのニール・ヤング&クレイジーホースのステージは凄かった!!
3時間近いステージは名曲で埋め尽くされ、その演奏のエネルギーたるや、凄まじいものでした。
おそらく、自身の近年のステージのなかでも特筆すべき出来だったのではないでしょうか?
あの時は、マキと八雲、スタイリストのオスミ、マネージャーのナベ氏、坂井真紀ちゃん…といったメンバーで、レンタカーで繰り出したのですが、今回は、マキとオスミがNYに仕事で出かけていたので、11月14日は八雲と、15日は師匠、エンケン〜遠藤賢司さん、「くるり」の岸田繁クン、またまた坂井真紀ちゃん、ワタクシ…という、濃いメンバーで挑みました。
エンケンは初来日の76年には雑誌でニールさんと並んで写真におさまっていたのを良く覚えています。
僕は、当時、芝居の本番中で行けなかったんだ〜! 岸田クンや坂井真紀ちゃんは生ま れてもなかったのでは〜?
二度目の来日の89年もエンケンさんやマキと行ったのですが、クレイジーホースではなかったのと、NHKホールというハコや、観客の反応もイマイチだったような気がして、盛りあがりには欠けた印象は否めませんでした。
もちろん、馴染みの曲も沢山やってくれたのですが…。
どうも、ニール・ヤングは日本にあまり良い印象を持っていないらしい〜などというウワサも、衆知のこととして語られることが、ファンの間でも多かったですしね。
だからこそ、フジロックの爆発はものすごく嬉しかったのです!!
パティ・スミスが同日の昼にステージを務めていたことも大きかったような気はしますが……そりゃ、負けられないでしょう!

さて、そして、今回の「グリーンデイル」。
フジロックで気を良くしての続いての来日か!?
ならば、同様にクレイジーホースを従えてのLIVEは悪かろうはずがあるまい! と意欲満万で出かけました。
今回のアルバムは名曲ぞろい。シンプルな演奏も好みで、近年のなかでは相当聴き込みました。
演劇仕立てのステージとは聞いていましたが、グリーン一家の物語が唄と演奏と共に進められて行きます。
2日共、PAトラブル等もあって、決してステージングがスムーズというワケではなかったですが(ていうか、2日目はニールさん、怒ってた!!!)、兎に角、音が良くて、気持ち良かったです。
アコギの曲なんか、ちょっと、あれだけで、満足なくらいのギターサウンド!
グリーン一家の物語は事前に歌詞等読んでいて、おおまかにはストーリーは把握していましたが、英語が解らなくても大体のストーリーは想像できる、シンプルなもの。幸せなアメリカのカントリーホームの崩壊していく様を描きつつ、そこに至るアメリカの、世界の抱えている問題を提議して、最後には孫娘がパティ・スミスばりに迷彩服に身を包み、環境保護と世界平和を訴えるヒロインとして立ちあがるというもの。
それが、実際のニールヤングのLIVEの一部のフィナーレと重なるというアイデアは佐野好み!
が!
本当にストーリーを伝えたいなら、字幕を用意して、一人でも多くの日本人に解ってもらう努力はすべきだったと思う!
音楽は良くとも、語りの心地良さも、ポエトリー・リーディングとやらとして浸れるけれど、「物語」がキーポイントであるのは確かな、今回の「グリーンデイル」なのだから、そのくらいの配慮はすべきではなかったか!! ニール・ヤングよ!
ポール・マッカートニーが同時通訳の字幕を用意したのとは意味が違うかもしれないが、ショウマンとしては必要だったと、再度言おう。
満足に英語を理解せず、話すことも出来ないニホンジンは、それとも、もはや英語圏アーティストのLIVEに行く資格がないとでも言うのか〜!?
……まあ、ちょっと、激しすぎましたが、例えば、スクリーンのCGグラフィックに"support our war”てな文字が浮びあがる時、それがアメリカ社会に対する皮肉を込めたものであっても、まして、現在のイラク問題山積みの、ブッシュ、ラムズフェルド&コイズミの関係をニュースで見続けている我等ニホンジンにとって、それがどんな風に映るのかぐらいは考えて欲しいものだ。
そう、ニール・ヤングのファンならばわかるはずだの元では新興宗教と同じだぜ!
誤解する人だって決して少なくはないかもしれない……というか、事実、そこで、多くの観客の意識は戸惑い、ストーリーとサウンドから取り残され始める。
更には、少年をも含めた若き日本人ダンサーたちの現地調達起用は、経費削減と開催国との交流という意味では、微笑ましくもあり、やさしさも感じるのだが、日本人出演者の多くにも迷彩服をまとわせてのフィナーレは違和感を感じずにはいられなかった。
いや、アメリカの田舎の一家族の眼差しでしか、世界がどうなっているか、カナダ出身のアメリカ人である眼差しでしか、何もわからないという態度を示し続けてくれている意味では、その正直なロック・アーティストの姿勢に感銘を受ける。中途半端に東洋思想とやらを振りかざされるよりはよっぽどマシだ。
でも、ここは、日本だ! アメリカとのズレをお土産に、せめて、大きく感じて母国に帰ったと思いたい。
フィナーレで星条旗と日の丸を登場させた貴方なら、わかるはずだ。
しかし、日本人出演者にも、そのあたりの意識は持ってステージに上がって欲しかった。
それはまったく見えなかった。
アメリカの有名なロックスターとステージに上がってるんだ!……というふうにしか見えないのでは、今回のことは済まされないような気がする。
どんなに世界平和と環境保護を訴えたって、自分の身体の、心の底からの声でなければ、届かないよ……。
また、それを、よく許したもんだな! ニール・ヤングは!!
……おっと、怒っちまったぜ……好きだよ、ニール・ヤング!!!
いや、これが、同時期に来日したエリック・クラプトンなら何も言わないし、興味も持たなかったろうが……何しろ、ニール・ヤングと共に、10代から過ごしてきているのでね……。
それとも、やはり、どんな文化であれ、言語であれ、「物語」を構築するには、付け焼き刃では通用しないということか?
現代、演劇が面白くないのはそのせいなのか!?
おっと、矛先が自分に向かっちまった〜。
テレビドラマも演劇も面白くなくしてるのは、この付け焼き刃な感じなのかな〜。
コンセプトで物事は見えないし、解決もしないし、構築もできないということなのかな〜。
けれど、けれど、「ヘイヘイ・マイマイ」から始まる二部のステージはフジロックと比べてはナンだけど、凄く良かったな〜。
やはり、30年余を共に過ごしたバンドでなければ、あの一体感は出せないのだろうな〜。
R&R can never die〜は真実だと思いました。
14日、八雲はミーハーに興奮してたけど、上記のような想いを話して帰りました。
「い〜な〜、ニールさんと同じステージに、子供がいたんだよ〜」と、これが、正直な日本の子供の現状として、親は受けとめました。
う〜ん、何も言える立場じゃないな、こりゃ……。
15日は神保町のビアホールでみんなで語り合いました。
「負けたくない」とエンケンに言わせるニール・ヤングはやはり、凄いと思いました。
60年代に出会ったエンケンやニール・ヤングの音楽。
90年代に出会った「くるり」。
時代は変わっても、変わらない精神だけは受け続けられると、改めて思いました。
ああ、それでも、こうして「グリーン・デイル」を聴いているオレ。

ファンページ"HEART OF GOLD”http://dangerbird.tripod.com/Neil.htmセットリスト等々、ファンにとってはたまりません!!

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