橘井堂 佐野
2002年6月17日

横浜のチェッカーズ・クラブのママ逝去す
横浜のチェッカーズ・クラブは中華街にあるバーです。
戦後間もなくから開いている、かつては世界中の船員さんたちが集まるバーでした。
パパさんの奥田さんはハワイの2世で、アメリカ軍人でした。
ママさんは富美子さんといって、上海で育った日本人です。
戦後、下北沢の古物商店で知り合ったそうです。
店内ではその、独特の英語が飛び交い、古いジャズのアナログレコードがかかっていました。
いや、今でもかかってはいるのですが、その、ママさんが先日亡くなられたのです。
だから、今はパパさん一人です。
葉巻をくわえ、くゆらせてます。
重い木戸、真鍮のノブ、ワックスの匂いの床……。
古き良きヨコハマ……の佇まいが残っている店です。
僕とマキは、この店に、劇団時代、金もないのにプラリと引き寄せられ、それからはまるで親戚のようで、出世払いといって、随分とお世話になったものでした。
素敵なお店なのですが、撮影や取材は一切お断りしていたようで、それ故、その雰囲気も守られているのでしょう。
寂しくなります。
安らかに……ママ……。

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