橘井堂 佐野
2001年8月18日



『君が好きだよ』
作詞・作曲:佐野史郎
はじめて僕たち出会った日のこと
君は覚えているだろうか
さわやかな風の吹く四月だったね
甘い花の香りが苦しくて

僕らはこんな歌を聴いて
目を細めて感じていたね
ずっとここにいれたなら
ずっとここでこうしていたい

それから幾たびも夏が過ぎて
せつないことだらけだったけど
空が高くなる涼しい風の頃には
別れることにも慣れっこになって

またこうして出会えるのだから
ポケットに手をつっこんで俯いていても
僕はずっとここにいるよ
ずっとここでこうしていたい

君が好きだよ
君が好きだよ
君が好きだよ
君が好きだよ



『悪いことが好き』
作詞:佐野史郎 作曲:ムッシュかまやつ
悪いことが大好きさ
他人に知られちゃもったいない
みんなと同じじゃなきゃ困る?
みんなと同じがラクチンさ
だからこうして隠してる
同じフリして隠してる

だけど隠しきれないぜ
そんなケチなものじゃない
熱くて重くて持ちきれない
見せてやろうかこいつをさ
こたえられないこいつをさ
一度知ったらやみつきだ

おいおいいいかげんにしろよ
そんなリッパなものじゃない
痛くしろとは言ってない
たかがホコリのようなもの
なんでもないぜこんなもの
だからカタチになっている

お願いだからもう少し
もう少しだけ離れていてくれ
そしたら息もできないほど
きつく抱きしめてやれるから

悪いことが大好きさ
他人に知られちゃもったいない
アイツらすぐに悪いこと
いいことに変えてしまうのさ
誰が教えてやるか
こんなに面白いことを

他人のこと気にしてるから
隠してる奴ァまあイイや
コソコソしてりゃいつの日か
いいことだってバレちまう
そんなのまっぴらオレはイヤ
悪いことが大好きさ

他人のことを気にもせず
悪くてケッコウという奴も
いいことがホント好きなのね
真実ばかりが好きなのね
そんなのまっぴらオレはイヤ
悪いことが大好きさ

お願いだからもう少し
もう少しだけ離れていてくれ
そしたら息もできないほど
きつく抱きしめてやれるから

似て非なるものとはコレよ
面白いから隠すのヨ
隠してるから面白い?
そんなことでもないの
どっちでもいいそんなこと
悪いことが大好きさ



『ロリータ』
作詞・作曲:佐野史郎
あなたは肩にかかるほどの
髪に守られて
首を傾げて瞼を閉じてる

その長い睫毛
きりりと結んだ
ちいさな唇

時折揺られて
瞬く視線
僕が観てるの知ってるんだね

あなたのそのエナメルの靴と
白い靴下は
踝を隠して膝を開かせる

ベルベットのスカートを
僕も買ってあげたい
もっと深い愛色の

時折ビクンと
はねるその腕
僕の前で眠った振りして



『素敵な午後』
作詞・作曲:佐野史郎
湖べりの街の春
君と歩くと風が笑う
こんな素敵な午後はない
幻の街へようこそ

そこの角を曲がって
ほらあそこのお店でミルクティー
こんな素敵な午後はない
懐かしい音にみんな笑う

こうしてギターを爪弾いて
クスクス笑って呟いて
こんな素敵な時はない
…またね



『これ以上好きになれない』
作詞・作曲:佐野史郎
これ以上好きになれないくらい
君のことを好きになってしまった
そんな風に見つめてばかりいないで
手をつないで二人歩いてみようよ

いくつ言葉を重ねてみても
埋め尽くせない時がもどかしい
黙ったままでいる方が
こんなにも安らかでいられるなんて

これ以上好きになれないくらい
君のことを好きになってしまった
君のいない時は寂しいけれど
待っているから僕は平気なんだよ

時計の針は進み続け
止まることのないのが怖いんだ
君がいなけりゃこんな風に
ここにいることもなかったのに

これ以上好きになれないくらい
君のことを好きになってしまった
これ以上好きになれないくらい
君のことを好きになってしまった

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『台風の予感』
作詞・作曲:佐野史郎
なまあたたかな風が
肋骨の林を吹き抜ける
鼓動が高鳴って
ため息が嵐になる
好きだよ君が
大好きだよ
もうこれで会えないけれど
ざわめく木々のなかを
僕は駆けてゆくんだ

波飛沫をうける
耳の形の貝殻
瞼を閉じると
溢れ出る熱い塩水
好きだよ君が
大好きだよ
もうこれで会えないけれど
飛んでゆく雲に向かって
僕は泳いでゆくんだ

好きだよ君が
大好きだよ
もうこれで会えないけれど
ざわめく木々のなかを
僕は駆けてゆくんだ
飛んでゆく雲に向かって
僕は泳いでゆくんだ
ララララララララァラ
ラララ
ララララララララ
ララララララララァラ
ラララ
ララララララララ



『海と空』
作詞:佐野史郎 作曲:鮎川誠
君のその長い髪が
かすかに揺れるだけで
僕の回りに嵐がおこり

君のその長い睫毛の間から
浮かびあがる一粒の灯りが
苦い大きな波となる

このまま君の海の底に
飲みこまれたまま
二度と浮かびあがれなくとも
僕はかまわない

組み合わされた手と手が
絡みあったまま
渦巻いて舞いあがる

離れそうになったら
腰に手を回し抱きとめたまま
どこまでも行けばいい

このまま二人の空のむこうに
漂い続け
全てかき消されてしまっても
僕はかまわない



『天使のめざめ』
作詞・作曲:佐野史郎
ねえもう起きなよ
外はあんなに明るいよ
カーテンを開けるから
お茶を入れてよ

窓を大きく開けると
冷たい外が口のなかで
いっぱいに広がって
背中に羽根も生える

チラチラ朝の光り
睫毛に絡んで
まばたくだけで
それだけでいい



『終わりの街』
作詞・作曲:佐野史郎
シロップづけの赤いチェリー
藍色の通りに転がる
駐車違反の車の横を
甘い匂いが流れる

紺のスーツに身を包む
あなたのスカートがねじれる

「私、スカートの下は何も穿いてないのよ」

ゆっくりと走り出す車の横を
甘い匂いが渦巻く

とろける水飴のような
風にからめられ
君は消えてしまった

「抱きしめることも出来ず
触れることさえ躊躇われ
ただただ視線をからませ
口の中にまとわりつく
揺れて震える何かを
放っては捉え
捉えては放つ」

とろける水飴のような
風にからめられ
僕も消えてしまった

ここは終わりの街
知らなかった
こんなに君が好きだったなんて



『こうして』
作詞・作曲:佐野史郎
地球がまっぷたつに
割れてしまえばいいと
本当にそう思っていた
忘れやしない
忘れやしない
僕を罵ったあの人も
優しくしてくれたあの人も

頭蓋骨を金槌で
叩き割ってしまおうと
ここまで振り上げていた
忘れやしない
忘れやしない
僕を罵ったあの人も
優しくしてくれたあの人も

「事故で死んだり
 睡眠薬で自殺したり
 長い間休んでいたと思っていたら
癌で死んでしまったり
そうかと思えば
生まれてきたり…
でもでも
そのはかなさを目の当たりにすると
 自分さえも確かめられずに
 死ぬことを思うだけで
 何とかそこにいた
 だからきっと
恋しくて恋しくて
君のことが
好きで好きでたまらなくなるんだ
そして
死んでしまうものを何とも思わなくなり

       生まれてくるものが
嬉しくて嬉しくて
仕方がなくなるんだ」

だからこうしているんだ
それは君のことだ
僕のことだ
ひどい奴らだけが友達なんだ

「いくらでも嘘をついてくれ
 そんなことどうでもいい
 本当のことなんか言わなくていい
 そんなものないこと知っている
 でも違う
 そうじゃない人たちがいる
スゴイ!すごいぞ
僕には出来そうもない
事実出来たためしがない
出来ないんだ
そして
こんなことを言っているようじゃ
もっと駄目だ
ホラ見ろ
グダグダ言っているうちに
地球が怒って町が壊れた
人が死んだ
犬も猫も死んだ
それはおまえのせいだ
おれのせいだ
おまけに世紀末に浮かれ出す奴らまで
野放しだ!」

だからせめて忘れないようにしよう
酷い目にあったこと
優しくされたこと
そして
恋しくて恋しくて
苦しくて仕方がなかったこと

こうして!

地球がまっぷたつに
割れてしまえばいいと
本当にそう思っていた
忘れやしない
忘れやしない
僕を罵ったあの人も
優しくしてくれたあの人も

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