朝の光と春風の中を
古いディーゼルカーに乗り
ゴトン ゴトンと
あの町めざして走る
紙魚つき黴たこの本も
古い時間を忘れたか
パラパラ パラパラと
風に戯れお喋りをする
開いた頁はどこなのか
ギラリと光り読めないよ
急な陽射しに白い頁
文字は燃え尽き散らばってしまった
思わず閉じたらトンネルに
真っ暗クラクラと本を落とした
開けたら黒い頁
流れる景色に緑は優しい
それでもあの町に着くまでに
読んでみようとするのだけれど
どこまで繰ってみても
最後の頁が見つからない
朝の光りと春風の中を
古いディーゼルカーに乗り
ゴトン ゴトンと
あの町めざして走る