★主演のアンソニー・ホプキンス、制作のディノ・デ・ラウレンティス氏とその公私にわたるパートナー、マーサ・デ・ラウレンティスさんも舞台挨拶に。
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観てきました!
「ハンニバル」!
良かったぁ〜。
プレミア試写会ということで、主演のアンソニー・ホプキンス、そしてフェリーニの「道」やロジェ・ヴァディムの「バーバレラ」リドリー・スコットの「砂の惑星」など数多くの名作を生み出してきた、制作のディノ・デ・ラウレンティス氏やその公私にわたるパートナー、マーサ・デ・ラウレンティスさんも舞台挨拶に!!!
客席の方も、隣には永作博美さん、おお、渡辺満里奈さん、佐伯日菜子ちゃん・・・
あらら、戦友、賀来千香子さん・・・ベンガル、綾田俊樹、熊谷真実の3人トリオの各氏、泉谷しげる氏・・・まあ、列挙しきれませんが、どこにでも顔を出すワイドショー目当てのタレントさんたちは別にして、コアな俳優陣は見逃せないと駆け付けていたようです。
内容は、もちろん、1作目の「羊たちの沈黙」の10年後のストーリーなのですが、さすが、リドリー・スコット!
とにかく、上品この上ない!
でもって、大笑いできる!
下らなさ過ぎて、高級なんだかクソなんだかわからない状態を味わえるなんて、表現として最高、最上のものでしょう。
現代の「吸血鬼ドラキュラ」、「ノスフェラトゥ」・・・ゴシックロマンスの香り漂い、マニアならば余計にたまらん!
ベラ・ルゴシ、クリストファー・リーに継ぐ、吸血鬼俳優、アンソニー・ホプキンス……。
その知性と、冗談さ加減と、非情さに心底敬意を表します!
それにしても、リドリー監督は日本というものが薄気味悪いようで、それは、「ブラックレイン」や「ブレードランナー」にも端的に表れていますが、人肉を食らうということと、豚の肉を食らうということに差異を見ていなかったかもしれないこの土地の人間の眼差しは、ある意味では正しく、そのことの折り合いをつけようと戦っているようにも読めます。
しかし、それも、数千年のことなのか、数万年なのか、何百年のことなのか・・・
我々もまた、その眼差しに怯えるので、こうして向かい合うと歓喜にうちふるえるのです。
これから放送予定の乱歩の「陰獣・・・闇の脅迫者」のエンディングの発想は、しかし、この映画とまったく同じもので、パクれるはずもないのですが、普遍的な表現方法こそが、実はいつでも新しいものだという驚きの再確認でもありました。
ちなみに、例の、冬彦ちゃんのころ、「羊たちの沈黙」を観て、蝶のコレクターにしようと美術さんが言ったのでした。
あれから10年・・・久々の賀来さんとの再会が「ハンニバル」の場所だったことさえ、オソロシイ・・・。
しかしなあ・・・先日収録した「真剣10代しゃべり場」というNHKの教育番組で交わされた10代の若者たちとの会話は噛み合わなかったなあ・・・。
途中で帰っちゃう奴もいて、それはそれで正直でよろしいと思うのですが(もちろん留める人もいる)、どうしても演出家に言われてそうしたとしか見えないのは、実際にどうだったかは別としても、テレビというメディアが日常で、演出という行為がとても身体に染み付いている日本なのだからだなとも思いました。
どう思うか・・・ではなく、どうなっているのか・・・この映画のこととか話合いたかったな。
そうすれば、同じ土俵で語り合えると思うのに・・・モラルは必要か?とか、援助交際は良くないか?なんてテーマで話し合わせるNHKの番組制作の、若者を観る眼差しにこそ意義あり!
良いか悪いかを戦わせて、それぞれが自分の価値観の場に引き寄せて・・・人肉を食う是非をこの映画は本質的に突いているし、それは武田泰淳が「ひかりごけ」でとっくにやっていたかもいれないけど、そんな関係性を解いていく眼差しに興味を持っていかないのは、やはり、多くの大人と言われている人たちがそうだからなので
しょうか?
はっきりとした答えがでなければ、答えにならない・・・とか、結論を一言で提示しなくてはモノは伝わらない・・・とか、そういうどこかで聴いてきたことを言うのは止めてくれ!
そんな、自らとの対峙は、無意識の底にある自意識を見なくてはならないから、それは辛い作業だけれど、そのことで救われることも多いはず。
何の意味もないことに、血道をあげることこそ美しい・・・事実、全てに意味なんかありゃしない。
あるとしたら、それを見ようとする自分の中にだけ・・・そう、だから、ストーリー、オハナシはとても大事。
全ての意味をオハナシから解いて行き、無意味の美しさを知る・・・。
ああ、だから・・・わかる・・・ことは感じることだと、今一度教えてください! センセーイ!
ちなみに、僕は中学生の時に、スタンリー・キュブリック監督の「2001年宇宙の旅」を題材にして「あの黒い板は何だろう?」と国語の授業をした故・石賀昇先生の授業がわすれられません。