昨日は明治学院の記念講座に呼んでいただきました。
ギリシャの監督、テオ・アンゲロプロス監督についてのお話。
もちろん、講義などという立派なものではなく、トーク・ショウなのですが……。
アンゲロプロス監督といえば、四時間の大作「旅芸人の記録」。
初めて観た時には、眠ってしまいました……トホホ。
けれど、いつしか惹かれていったのです。
東欧と西側の間に揺れる政情不安定な国、ギリシャだからこそ生まれた監督。
無駄な説明をせずに、オフの表現や対象物から決して視線を逃さない洞察力、さらにはシュルレアリスム的手法を違和感なく取りこむ大胆さ…どれをとっても、やはり他の追従を許していません。
亡くなられたフランス映画社の川喜多和子さんが積極的にアンゲロプロス監督を日本で紹介なさっていました。
日独合作で撮影されていた篠田正浩監督の「舞姫」の撮影の合間のこと。
ベルリンの壁が崩壊する前年の、1988年、東ベルリンのDEFAという、由緒ある撮影所に通っていたのですが、次の出演シーンまでのスケジュールが空いたので、ヴェネチアを訪れることに……。
丁度ヴェネチア映画祭開催中だったので、フランス映画社の川喜多和子さんとご主人の柴田駿さんを訪ねたのです。
その時かかっていたのが、アンゲロプロス監督の「霧のなかの風景」。
和子さんも柴田さんもイチオシだったのを機に、改めてアンゲロプロス作品を観直すことに……。
「霧のなかの風景」は僕にアンゲロプロス監督の素晴らしさを教えてくれるきっかけとなった作品なのです。
1986年の夏、やはり川喜多和子さん柴田駿さん、さらには川喜多かしこさんらと共に林海象監督と僕のデビュー作「夢みるように眠りたい」をひっさげてヴェネチア映画祭に乗りこんだのを忘れません。
かしこさんも和子さんもお亡くなりになった今でも、フランス映画社さんは素晴らしい作品を紹介されています。
改めて、アンゲロプロス監督の素晴らしさに感服している今日この頃であります。
しかし、明学は四方田犬彦さんというアンゲロプロスに関しての権威の教授もいらっしゃるし、当日、やはりアンゲロプロスを講義なさり、シュルレアリスム文学を語る上では欠かせぬ巌谷國士教授もいらしてて、何とも…てな感じではありました。
楽しんでもらえたのだろうか……?と、ちょっと不安。
実は、今回の講演、明学の川俣優教授の奥さんが松江の方で、僕の母とご実家が親しかったのでやらせていただくことになったのです。
やはり、現場でものを作らないと、サノはどうにもなりません。
さて、てなことでイタリア繋がりのお話デス……。今週、イタリアの「FAR EAST FILMS」っていう、映画祭にご招待いただいたので、出かけてきます。
何でも、アジアの映画だけの映画祭のようで、僕は「ゲンセンカン主人」と「桃源郷の人々」でもって、呼んでいただきました。
久々に石井輝男監督とご一緒です。
また、ご報告しますね。