昨日、唐組の「糸女郎」という芝居を見てきました!
最高でした!!
ホント、こう言うと、師匠の唐十郎には申し訳ないけど、久々のホンマモンでした。
もうね、水晶、糸、つる草……モチーフもビンビンくるし、舞台となっている諏訪の製糸工場を廻るストーリーも、個人的に「カラオケ」の映画で諏訪の土地が感覚的にも嫌って言うほど染み付いているし、言う事なしでした。
ロートレアモンの「マルドロールの歌」なんかが引用されたりね。
演劇っていうんじゃないんだよね、そういうものが好きなんだよね。
もう、全部なの!
音楽だの、文学だの、芸能だの、分けられないんだよ!!
紅テントのなかで蠢く肉体たちは、中沢新一さんの言葉を借りれば、胎内の胞衣(えな)に包まれた無邪気な生き物でした。
人間……というものを規定していない感じ?
唐さんも、どうやら新たなシュルレアリスム演劇宣言をしているようです。
是非、ご覧あれ!!
この先は、長野の県民文化会館横の若里公園で、6月の8,9日。
新宿花園神社が、6月の15、16、22、23日。いずれも、土日です。
お問い合わせは劇団唐組(03−3301−7826)まで。
★荒木一郎氏と。
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一方、考えさせられることもありました。
先日、NHKラジオ第一放送の「音楽 夢倶楽部」という番組のゲストに荒木一郎さんと呼ばれました。
荒木さんは、加山雄三さんと並ぶ、元祖シンガーソングライター。
久々にCDをリリースされて、プロモーションにお忙しそうです。
一緒に「今夜は踊ろう」を僕のギター一本でやったりね。またまた生放送の演奏という、キツイ、けれど楽しい、夢のような時間を過ごせました。
荒木さんて、当時からアレンジにもうるさく、おっしゃっていることが大瀧詠一さんとまったく一緒だったのが面白かったです。
あらためて、アーティスティックな日本のポップス、ロックの元祖だと思い知らされました。
そうですね……まず、ムッシュかまやつ!
そして、荒木一郎、加藤和彦、遠藤賢司、細野晴臣、大瀧詠一……その後、偉大なプロデューサーやアーティストが沢山出てはいるけれど、以上の、元祖が開拓された上に始まっていることは否めないでしょう!
殊に、言葉とサウンドと身体と時代の空気すべてひっくるめて表現している点が、ただ、個人的な情念やメッセージ、あるいはセールス至上主義の商品としか音楽をとらえていないアーティストとはまったく違うのだと、ご理解いただきたい!!! そういう人たちは、才能がどんなにあっても、そこから世界をどう切り取って見ているかということにはなかなかなっていないように思われます。
つまり、音楽のための音楽であり、この世界にたった一人のワタクシというものと向き合った結果の作品ではないということです。
ま、もちろん、それはそれでアリ、ですし、僕自身も、他人のことを言えた立場ではありません。
そう、唐さんの舞台が演劇であって演劇でないのと同義なのです。
僕自身を振り返ると、色んなことをやっていても、「ああ、ヘタな役者さんなのだなあ」と思い、絶望感にさいなまれさえします。
どこまでいっても、所詮、「演じる人」なのです。
ダメだ! それでは!!
大久保鷹さんのように、演じることを放棄した身体でなくては! ……しかも、「演技してない自然な居方」だの、「なにもしないことを目的とした演技」だのは更にドツボだ!
助けてくれ〜!!
ラジオの収録を終えて、荒木さんのご自宅へ。
大豪邸。
そう、芸能人のお家のイメージって、こういう感じだったな……やっぱ、あのころに大スターだった人って全然違う。
DVDのサラウンドシステムが凄く、プライベート映画館になってました。
「日本の映画館は、例えばハリウッド映画で作られたものを正確に上映できる館は一軒もない」っておっしゃってました。
まさに、そうなのかもしれません。
音も映像も、映画館より、映画らしいDVDのプロジェクターなんて初めて見ました。
今の日本のテレビや映画の質は酷すぎると、嘆いておられました。
凄い才能の持ち主故、その辺の監督やカメラマン始め、プロデューサー、スタッフ、キャストに至るまで、バカに見えて仕方がないのでしょう。
だから、仕事をほとんどなさらないのでしょう。
ならば、また時代に逆行して、鎖国するか……いや、もう、戻れないのですから、あとは徹底的に個人としてあらゆる問題と向き合い続け、苦しむしかないでしょう。
でも、この国には、大衆演劇がある!
能や狂言(どこぞの騒動はホットイて)がある。
そして、紅テントがある!
エンケンがいる!!
そう、これはまったく、個人的な戦いです。
他人には言えないような、オソロシイことを思いつつ、世界平和を願い、友達や家族や、親族、町を愛し、同時に、広島や長崎のように、ヒトラーがユダヤ人を虐殺したように、南京大虐殺やアジア各地を占領したように、人は何をしでかすか分からない、どんな天変地異がおこるかわからないと覚悟して、生きていこう。
だから、ちょっと、ギターを爪弾いてみる……今日も。
……きっと、ここのところ、いっぱい人が死んで、素晴らしい作品を観て、僕自身の身体も、めくれてしまっているのでしょう。