雑記帳 二〇十七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十五年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十四年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十三年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十二年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十一年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇一〇年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇九年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇八年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
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橘井堂二〇十二年文月三十日

7月28日、29日に開催された「岡山原田芳雄映画祭」のトークイベントに参加させていただいた。
私は29日の「寝盗られ宗介」の後に林海象監督と。「竜馬暗殺」の後に石橋蓮司さん、林海象監督、映画評論家の寺脇研さんと。
前日入りして、主催者のみなさんや脚本家の荒井晴彦さんらと会食。
とても楽しかったのだけれど、どこか、筋金入りの地元の映画ファンの方々や強面の映画人たちの間で、何十年も俳優を続けているのに、なんで自分はいつもこんなにもフワフワとしているんだろう・・・と居場所を捜し続けているような感じ。
みなさんが、ホンモノの映画人、映画ファンであるのに、自分にはそう言い切る事ができないでいるのだ。
もちろん、映画は大好きだし、俳優の仕事に誇りを持ってプロとして、日々現場に挑んでいるつもりではあるのだが、映画が全て・・・と言い切れないからかな〜?
みなさんだって、もしかしたら同じなのかもしれないけれど。
映画デビューしてから数年間お世話になった、原田芳雄さんの事務所の社長であり夫人の章代や娘さんで女優の麻由さんもいらしていた。
ここのところ日本映画専門チャンネルで原田芳雄特集を放送していたので代表作を何本も見直していたこともあり、芳雄さんの圧倒的な存在感、演技をあらためて見せつけられて、映画でデビューした頃の気持ちに戻っていたのかもしれない。
林海象監督とのデビュー作品「夢みるように眠りたい」があったからこそ、鈴木清順監督作品になくてはならなかった美術の木村威夫先生とのつながりもあって芳雄さんの事務所にお世話になったのだ。
その頃の作品、若松孝二監督の「寝盗られ宗介」では芳雄さんが旅回りの一座の座長、僕は何人もいる腹違いの兄弟のなかで唯一出来の良い息子、建設会社の社長の跡取り。
座長が腹違いの弟に金の工面をしてくれと言いに来る。
新しい公民館を建てるので、そこで宗介とレイ子の結婚披露をし記念公演を打ってくれと頼む弟。
芳雄さんの自由闊達な演技に対して、なんとカタイ演技だろう・・・!!!!と、20年ぶりに見た自分の芝居に愕然。
・・・とはいえ、思い出した。
トークイベントで連司さんとも話していたが、芳雄さんや連司さんのような、暖かく、包容力があり、人間味のある、情念を全開にして演じる大物俳優たちを前にして、いくら憧れがあるからといって同じような事をやってもかなうわけもない・・・と。
事実、あの頃、芳雄さんや松田優作さんに憧れる”ソックリ”な役者志望の人間がゴロゴロいたのだから。
やはり同じ芳雄さんの事務所で一緒にいた又野誠司くらい徹底していれば、誰も文句はつけようもないだろうけれど!!
状況劇場時代にも、大久保鷹、根津甚八、小林薫、唐十郎・・・に憧れたところで、自分は違う資質の人間だということは嫌というほど思い知らされていたし。
「竜馬暗殺」はそれまでの時代劇の様式を打ち破った・・・ならば、様式に立ち戻ることで、「目の上のタンコブ」(蓮司さんには、壇上で直接告白。笑って許してくれる大物俳優!!!)たちに応えようとしていたのかもしれない。
それで、林海象監督と僕が石橋蓮司さんと並んで、寺脇研さんの進行のもと、壇上に並んでいたのかもしれない。
想えば「夢みるように眠りたい」は共に白黒映画というわかりやすさからだけではなく、時代劇やノスタルジックな世界を舞台としながらも、レトロスペクティヴするのではなく、過去の歴史や伝統を現在進行形として今に蘇らせ、「竜馬暗殺」に応えようとしていたのだろう。
「竜馬暗殺」こそが、まさしくそういう作品だったのだから。
さらにそれに応えるべく。
「竜馬暗殺」はそれまでの時代劇へのアンサーソングとして、「夢みるように眠りたい」も日本映画の歴史に敬意を表しつつ、さらに決してオマージュではなく、「竜馬暗殺」へのアンサーソングとして、あらたな息吹となるべく生み出そうとしていたとも読める。
共に低予算で過酷な撮影現場のなか、無謀ともいうような強引さで作品が出来上がっていった経緯さえ、林監督は踏襲していたのだろう。
・・・「寝盗られ宗介」では、だから、僕の演技は、ただただ、内側の情念を読み取られまいと「良い人」でも「悪意ある人」のどちらかをも分からさせず、「様式」を使って、小津安二郎を手本として若松孝二監督のもと、原田芳雄さんに挑んでいたのだろう。
まあ、それで面白くなきゃ、何を言ってもしょうがないけど・・・あの時の芳雄さんと僕の姿は、日常と変わらずに、そのままだったのかもしれない。
この挑戦は、けれど、この年、「寝盗られ宗介」公開中に、映画ではなくテレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」のマザコン役で評価が現われたことも皮肉だ。
余談だが「寝盗られ宗介」のなかで、なにかというと亡き母の遺影に向かっている宗介に向かって藤谷美和子さん演じるところのレイ子に「マザコンか!?」とののしられるのも何かの前兆だったのか!?
・・・その前兆を受けたわけでもなかろうが、そうして、ドラマの大ヒットの流れのなかで、僕は芳雄さんの事務所を去ることになった。

とはいえ、大きな流れのなかで、唐十郎、ATG、独立プロ・・・の系譜にいて、僕も俳優としてデビューし、今日まで続けてこさせていただいていることには違いがない。
原田芳雄、唐十郎・・・という大いなる師の元にいたことに感謝し、そこでの時間を決して無駄にしてはいけない。
そして、そこには、いつも若松孝二監督と石橋蓮司さんがいるのだった。
今、その流れはかつてのように目にみえる形では現われてはきていないかもしれない。
それでも、井浦新さんと若松孝二監督の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」や「千年の愉楽」(本年度ヴェネチア映画祭に正式招待!!)に共に出演させていただいている一方で、フジテレビのドラマ、月9「リッチマン,プアウーマン」 でも共演していることを想うと、この流れを絶やすことなく見届けたいと思うのです。
井浦新さんとは林海象監督の新作「弥勒」でも一緒だし。

さあ、となると、林海象監督、次には何でもって応えようか!!!!
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橘井堂二〇十二年文月十二日

九州地方から東海にかけて「今まで経験したことのない」ほどの豪雨にみまわれ、被災地のみなさまのご無事を祈るばかりです。
・・・災害に巻き込まれて命を落とした方もいらっしゃるとのことですし、軽々しく言葉にできることでは本当はないのかもしれません。
昨年の大津波により何万人もの方が命を落とし、また行方不明のままでいらっしゃることと連なるかのように、地球規模で天変地異が起こり続けているように見えます。 その、ひとりひとりの命の重さは、残されたひとりひとりの身体がしっかりと受け止めないかぎり、わかり得るものではないかもしれません。
それでも、もしも、自分の身の回りに同じようなことが起きたら・・・?
いや、もはや、これは身の回りのこと・・・と、思わざるを得ません。
それほどに、天災が今の日本にとっては日常と背中合わせなのでしょう。

一方、連日メディアで報道されている大津での中学生のいじめによる自殺・・・因果関係云々・・・。
自然界の災害と同様に、教育、地域、家族、友情・・・そのあり方が現在のようになってきたのには様々なことが幾重にも幾重にも折り重なって現われてきたことなのでしょう。
誰かが誰かを責め続けるのではなく、誰かが誰かの上に立ち、統率し、責任を負うのではなく、もはや引き返すことなどできなくなってしまっているかのように見えるこの現状をどうすればよいのか・・・?
誰にも答えることなどできない現代かもしれません。
それでも・・・ならば、どうしよう?
先日、お会いした海上自衛隊の隊員のみなさんのように、命を賭して国民の命を守る!!・・・と宣言などできない、なまくらな、ひとりのワタクシと向きあうしかありません。
自殺した少年に想いを寄せてみても、そんな心情は中途半端な同情にしか過ぎないのかもしれません。

強くなんてなれない・・・誰にだって同じような状況が襲いかかってくるかもしれない。
天災であれ、病であれ、人間関係のことであれ・・・。

先日、松江南高校のクラスメイトが癌で亡くなったと聞きました。
同じクラスの、担任の先生も、学級委員だった奴も、音楽好きの仲良しもとっくに亡くなってしまった。
そして、また、ひとり・・・。

学校時代の友人たちや、仕事でお世話になった先輩たち、仲間たち、親族、知人・・・常に誰かが旅立って行きます。
いつかは自分にも、その順番はやってきます。
それがいつなのかはわからないけれど、100まで生きる!!・・・というようなことがリアリティを持って感じられるわけではありません。
明日かもしれないし、10年後かもしれない・・・いつだっておかしくない。

どこかの誰かの訃報を聞く度に、それが自分だったならば・・・と思えるわけもないのですが、とりとめもなくこんなことを思い巡らしてしまいます。

で!!

自分の仕事をします。

フジテレビ系列で放送中の月曜9時からの連続ドラマ『リッチマン,プアウーマン』
ご覧いただいていらっしゃるでしょうか?
なかなかね、家族みんなで集まってドラマを観る・・・なんてことも少なくなって来ているでしょう、この時代。
僕も観たい番組は、ハードディスクに録画して観ますし、撮りためっぱなし・・・なんてこともあります。
正直に言いましょう。
もちろん、番組宣伝するのは、自分の仕事をたくさんの方に観ていただきたいから。
でもね・・・本当に大切な作品の時は、なにかが自分の中でも違って動き始めるんです。
前回の『未来日記』も、そう。
昔の話を持ち出せば連ドラに限って言っても『ずっとあなたが好きだった』『誰にも言えない』『沙粧妙子 最後の事件』『私の運命』『青い鳥』・・・近年では『アイシテル』『正義の味方』・・・等々。
単発ドラマや映画を挙げたらキリがありませんが、今回の『リッチマン,プアウーマン』に対する想いは、また特別かも知れません。
このドラマ、スティーブ・ジョブズがAppleを立ち上げるに至るストーリーや、ホリエモンやニコニコ動画や・・・そんなエピソードを連想させながら・・・いわゆるIT企業を舞台として描きつつ、ドラマ自体を「神話」として捧げている・・・と僕は捉えています。
実体のない経済・・・いや、国歌も地域も家族も、恋愛も友情も・・・ドラマ作りも・・・みな、実体等なく、皆が、その時に集い、エネルギーを交換し、はじめて浮び上がってくる・・・。
それには何が必要なのだろう・・・?と、問いかけ続けるだけなのですが。
あらゆる表現、芸能は「神事」であると言い続け、己にも言い聞かせているワタクシですが、今回のドラマの設定が、まさに実体のない経済を舞台とした「神話」!!
意識してなのか、無意識なのか、出演者の役名も、日向(ヤマトタケル)、朝比奈(怪力、太郎)、千尋(言うまでもなく)、燿子(ヒミコ)、山上(神)・・・他の出演者の役名も宮前、立石。遠野、坂口(黄泉平坂)・・・と神話や伝説を想起させる人物ばかり。
表面は、スタイリッシュにカッコいい月9のドラマではありますが、実は一筋縄ではいかない内容なのです!!
もちろん、ラブストーリーが軸であるところも神代の時代から変わらずに。
決して社会的メッセージを声高には訴えてはいないけれど、普遍的なテーマが潜んでいると、こちらも一挙手一投足に神経を張り巡らさなければなりますまい!!!
この時代をどう乗り越えて行くのか、「ドラマは時代の鏡」であることを信じて挑みつつ、最後までおつきあい頂けますよう!!

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★地元、吉祥寺の名物、焼き鳥屋さんの「いせや」、実はすき焼きが美味しい!! 本店に続いて、公園店も老朽化のため改築するそうです。このたたずまい、もう見れないのか・・・。

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★シャッターにはPOPなペイントが・・・本店と、公園店と・・・どちらかは必ずやってました。

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★・・・確かに老朽化しとります・・・。朽ち果てる前の、この一瞬が愛しい・・・。 蘇り、復活する日を楽しみに!!!!

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橘井堂二〇十二年文月一日

ドラマ「未来日記」 も放送を終え、撮影はとっくに終わっていたのですが、それでもホッと一息・・・といった気分です。
6月はサスペンスドラマの放送が続いたこともあり、色々と感想を聞かせていただく機会もありました。
社長、作家、検事・・・どんな役を演じていても、演じるこの身はひとつ。
他人が書いた言葉でも、この身体から発せられる瞬間に、それがドラマとしてリアリティを持とうが、うそっぱちに見えようが、すべて、その瞬間の事実!!
結局のところ、自分自身の状態が赤裸々にさらされてしまうのだと思うのです。
それをすべてひっくるめて丸ごと受け入れるか、製品として良いものを提供するために、うそっぱちの部分は切り捨ててなかったこととして飾り、パッケージして、その身体を提供するのか?
それは、ひとりひとりが「仕事」というものをどう捉えているかによって変わるでしょう。
どちらが良い悪いなんてことを判断する基準は、ひとそれぞれ。
食べ物の好みや、どの土地に生まれ育ったか・・・というのと同様に、それまでの育った環境や生来備わっている身体のなかの資質といったことと無関係じゃないでしょうから、色々なものが世界に存在することを受け入れるように、それぞれの身体がある事実を受け入れるしかないでしょう。
・・・と、ワタクシは思いますが、違う想いの基準を持つ人やモノを受け入れることで自分や家族、大切な仲間たちの命が脅かされることになったとしたら、やはり、「己の感覚に正直に生きることを大切にし、そうでないものや迷える人たちに対しては『認めない』と、対立する人たち」に向かって、それでも命を捨てる覚悟で戦いを挑むのだろうか?
戦後70年になんなんとし、平和が維持されている日本ではありますが、実は敵国との「戦争」という形として現われていないだけで、人類が生きているかぎり、この対立が止むことはないのかもしれません。
それでも、武器を取るか、そうでないかは大きな違いだとは思いますが・・・。

そんなことを想ったのも、先日、海上自衛隊、呉地方総監部で撮影があった折り、総監や隊員の方々から「国防」に対する考え方や実際の訓練や作業のお話をうかがうことができたからかもしれません。
20そこそこの女性隊員は、入隊する時に身体と命を捧げる誓約書に捺印する時に覚悟したとおっしゃってました。
「覚悟」・・・どんな仕事であれ、大切なことはその一言かもしれない・・・とも思ったのでした。

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★呉「大和ミュージアム」に展示してある「人間魚雷 回天」・・・これに乗って敵艦に突っ込む覚悟をつきつけられたら・・・?

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★呉の港は穏やかでした。

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★海上自衛隊 呉地方総監部。海軍「呉鎮守府」の頃からの姿そのままに現在も使用されている。

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★海上自衛隊のパンフレットより。「敵」はいるのですね・・・。う〜む・・・。


震災後の東北での作業は「大変だったけど・・・」としかおっしゃらなかったのが、余計に起こっていたことの凄まじさを感じさせるのでした。
ここのところ古事記に記されている時代や数万年前のこの島のことに思いを馳せることが続いているので、現在の「クニ」のことも、その流れのなかで「神話」のなかの物語りとして感じているのかもしれません。

「現実」と「神話」と・・・。
一見、相反し、矛盾するものごとを、まるごと受け入れることの難しさと、これからも向きあい続けるしかないのでしょう。
流れ、漂い続ける身体を模索するしかないのかなあ・・・?
いざ、現場へ!!

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★呉名物、「メロンパン」屋さん。

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★メロンパン、しっとり、モッチリ、クリームなめらか、ずっしり重い!!美味しかった〜!

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