わが故郷、島根県松江市の小泉八雲記念館がリニューアルオープンしたので、先日、その開館記念式典に来賓として出席させていただきました。
松江市長の松浦正敬さん、小泉八雲記念館の館長に就任なさった小泉凡さん、多くの蔵書を寄贈なさったギリシャのハーン研究家、タキス・エフスタシウさん、在アイルランド駐在大使ご夫妻ほか、熊本、焼津、富山、神戸などの八雲会や関係者の皆様が大勢参加なさっていらっしゃいました。
熊本にも小泉八雲旧居がありますし、縁深い都市同士、少しでもお役に立つようにと、松江市から義援金も送られました。
交流会は、松江城にある興雲閣でアイルランドや日本のお料理などで、なごやかなひと時を。
アイリッシュハープ奏者の奈加靖子さんの演奏や歌に癒され、チェコ製の100年前のピアノが修復され、興雲閣に納められたということで、小泉凡さんの演奏も。
一昨年のギリシャ、昨年のアイルランドと続いて小泉八雲の朗読ツアーができたことは僕にとってもとても大きな経験でしたが、それもこれも、日本からは小泉凡さんの奥様、現代のセツ夫人ともいうべき小泉祥子プロデューサーのご尽力があったればこそのこと。
そもそもは2009年にギリシャ、アテネのアメリカンカレッジで開催された”The Open Mind of Lafcadio Hearn”というアート展が開かれたことがきっかけだったのですが、これには僕も松江の小泉八雲旧居の写真を出展。たまたま僕の手元に巡ってきたラフカディオ・ハーン全集の初版本があったので、そちらもギリシャに寄贈させていただいた経緯もあったのでした。
その後、同展は松江、ニューヨーク、ニューオリンズと巡回しました。
”The Open Mind of Lafcadio Hearn”の魂は一昨年のギリシャ、レフカダ島でのハーン記念館の開館、レフカダ、コルフ島での山本恭司と僕とでの朗読ツアー「望郷」、昨年のアイルランド、ダブリン、ウォーターフォード、ゴールウエイでの朗読ツアー「稀人」のほか、ダブリンでの”The Open Mind of Lafcadio Hearn”展、「帰郷〜Coming Home〜」と連なって開催され、トラモアでは小泉八雲庭園までオープンするという、まさにワールドワイドなハーン・ネットワークが展開し始めたのでした。
これらの経緯は八雲会のサイトに記されております。
アイルランドにはニューヨークからハーンのドキュメンタリー映画の撮影班もやってきて、今後、日本ロケもありそうです。
世界中がテロや政情不安のなか、ハーンの眼差し、生き方に学ぶ点は多いと思うのですが、今の世界を観たら、繊細なハーンのこと、とても耐えられないかもしれません。
それでも、無頼な部分もあるハーンのことですから、突破口を見出すヒントを与えてくれるかもしれません。
そのためにも、いましばらく、僕も、小泉八雲の朗読を続けていこうと改めて思うのでした。